ジーンにひずみゲージを貼った供試体を熱収縮チューブでシールする方法を教えてもらった。圧電素子を貼付したとき等、変位計を取り付ける十分なスペースがない場合に用いているそうだ。間隙圧は油ならいいが水はだめ。リーク率は10%、5〜6時間高封圧に耐えるそうだ。チューブはテフロンはホットメルトグルーがつかないのでポリオレフィンを使う。ちなみに、テフロンは熱に強いがクリープし、ポリオレフィンは高温下でクラックを生じるがクリープはしないそうだ。また、前者の方が硬く、変形挙動に影響しそうなのでジーンは後者を好む。 寸法を測る。測った寸法は供試体に書いてしまう。合理的である。 次にゲージベースを作る。テープでマスキングをしてからエポキシ系樹脂を塗りつける。道具はアイスキャンディーの棒みたいなものである。マスキングを剥がし、かみそりの刃(ジーンはこれを愛用する。なぜかカッターは使わない)で余分な樹脂をしゅっしゅっと取り除く。5分待ってから、サンドペーパーで磨く。 リード線が付いてないでターミナル一体型のようになっているひずみゲージ(Measurements Inc., Tel: 919-365-3800, Fax: 919-365-3945)をベースの上にスーパーグルー(Cyanoacrylate系瞬間接着剤)で接着する。何時間か待つ。
ゲージに0.02インチくらいの裸導線をはんだ付けする。リード線は上図のように曲げる。チューブをかぶせ収縮させる。歯垢の掃除に使うような先の尖った器具を2本用いてチューブに穴をあけリード線を引っ張り出す。これにリード線をはんだ付けする。これも曲げる。適正な位置にテープで固定する。
アセトンで拭いてからホットメルトグルーでたっぷりコーティングする。ちょっと待ってからまたチューブをかぶせ収縮させる。コーティング部にはたっぷり熱を加えホットメルトグルーを再度溶かしてマイナスドライバーの平坦部でぐりぐりしてコーティング部を平坦にし、かつ、チューブに密着させる。余分な2枚目のチューブを切り取って出来上がり。もちろんこの後ワイヤーで緊縛してシールする。シール部は右図のようになっている。周変位計のない人にはいい方法かもしれない。和紙ベースのゲージを使えば追随性がいいと思う。 石田先生は今ごろ空の上だろうか。石田先生は昨日いきなりお別れランチをやるといわれて日通の人(日通チームはダラス日本人会ソフトボール大会でヘンペックスを抑えて優勝した)との約束とかち合ってパニックになっていた。 石田先生が帰ったので私もそろそろ帰る準備を始める。手始めにスキャナー、TV、車を売る約束を取ろうと思いメールで流したら10秒後にミーガンが走ってきてスキャナーは売れた。TVもほぼ30分後にマオバイに売れた。車はXu Liの旦那さんに4時間後に売れた。売れたといっても渡すのは帰る直前だが。 めばえはまるで幼稚園児のようにでかい。びっくりだ。 石田先生の帰り際をよく観察して私のときの予習をした。石田先生がJCに聞かれていたのはこっちにきてびっくりしたこと、失望したことなどである。もちろん最初は石田先生にしゃべらせているが、いつのまにかJCがずっとしゃべっている。話題はいつもほとんど同じで、日本の女性がいかに従順であるかということ、ならびに、芸者の話しになる(ときどきは、日本の大学教員は研究費で自由に酒を飲んでいるということもある)。そして、日本人がそれは違う、あなたは誤解をしているといって一生懸命反論するのである。 sticky: ねばねばする。日本米とか甘ったるいベトベトのお菓子とかのことを形容する。日本語風にスティッキーというとstinky(スティンキー、悪臭を発する、靴下とかブルーチーズのようなものを形容する)と間違われる。私の場合は(鼻が詰まりぎみなせいもあるかもしれないが)100%間違われる。したがって、正しく、スティキーと発音しなければならない。 buck: バック、雄鹿の意味もあるが、アメリカでは主にドルの意味で使われる。Give me 20 bucks.(20ドルちょうだい。)のような感じである。 ところでこちらのオフィスや会議室は全部カーペットを敷いてある。もちろんその上にあぐらをかく人はいないが。リノリウムの上だとちょっと不安だが、カーペットが敷いてあればタワー型パソコンは床の上に置ける。北大資源では6年程前に国際化を目指すという目的で全てのカーペットが撤去されたが、これは国際化に逆行するものであったということがわかった(なぜ私がカーペットにこだわるかは秘密)。 freezing rainだ。JCが日本で騒いでいて「そんなおおげさな」と思っていたのだが、これはひどい。昨日帰るときも今朝出勤するときも車が厚さ2 mm程の氷に覆われていた。買った車に金属製のスクレーパーのようなものが入っていて、こんなものよりスノーブラシが欲しいなと思っていたのだが、金属製スクレーパーでもがりがりやっていると手が痛くなるくらい強烈に凍っている。解氷剤もこれだけ厚い氷だと全然効かない。雪の方がずっとましである。 メカニズムはよくわからない。過冷却された雨が、車に達した瞬間に凍り付くのか、あるいは、地表が氷点下で上空に暖気が入っているのか。とにかく雨で降ってきて凍るのでたちが悪い。雪で降ってくればお手の物なのだが。道路は幸いまだ凍っていない。でも、階段のところが凍っていて、まったく予期してなかったので転びそうになってしまった。今みたらさっそく融雪剤が撒いてあったが、やっぱり全然効き目はない。 PAGEOPHに出していた論文が真っ赤になって帰ってきた。1回目出したときは短すぎてだめだという感じで、山のようにコメントが付いて帰ってきた。今回は全精力を傾けて死ぬほど長い(刷り上がり推定30ページ)のにして(長いだけじゃないけど)出した。査読の先生も読んでて嫌になったと思うが、実にまじめに読んで書き込みして、コメントを添えて返してくれた。 やらなければならないことをやり忘れているところは当然見逃してくれないし、少しでも論文をいいものにしてやろうじゃないかという熱意を感じる。本当は査読者に何も書かれないくらい完璧な原稿が書ければいいのだが、まだまだそんな域には達していないので、このような査読は本当にありがたい。 日本の学会誌でもたまに素晴らしい査読者にあたってうれしいと感じることがあるが、これほどありがたく感じたのは初めてだ。こういう査読ができるようになろうと思う。 でも、直すのに半年位かかりそうだ。 |