北海道大学 大学院工学研究院/工学院 応用物理学部門(専攻)
凝縮系物理工学分野(講座) 結晶物理工学研究室

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当研究室では、X線、電子線、中性子線による回折・散乱を基礎においた物質の構造と物性の解明を目指しています。 研究対象はあらゆる結晶性物質です。

物質には気体・液体・固体の三態があることはご存知でしょう。 固体はさらに、非晶質(アモルファス)と結晶に分ける事ができます。
ここで、結晶とは

の総称です。

多くの結晶性物質のなかでも、とくに我々の研究の中心になっているのは、準結晶(Quasicrystals)と呼ばれる特異な構造秩序を持った物質群です。 準結晶は、1982年に発見された物質の凝集状態のひとつです。 原子配列にたいして高い秩序があるにもかかわらず、普通の結晶（NaCl,ダイヤモンド,半導体結晶）のような繰り返しの構造を持ちません。 1895年のレントゲンによるX線の発見、1912年のラウエによる結晶のX線回折現象の発見、そしてそれにつづくブラッグの法則の発見により、 結晶性物質の構造を原子レベルで調べることができるようになってから70年を経た後で、 物質の構造に関して、まだこのような基本的な発見が残されていたことは驚くべき事です。

この準結晶という構造秩序の発見により、従来からの結晶の定義が上記のように変更((注) IUCr 1992年)されました。 20世紀から21世紀へかけての高度な科学技術の発展、とりわけエレクトロニクスの発展は結晶性物質である半導体の探索と研究により支えられきました。 ガラスを例とした非晶質(アモルファス)物質の人類の利用はもっと古くに遡ります。 文明の発展は、物質の探求とその性質の研究の成果によりなされて来たといえるでしょう。

準結晶のような新しい物質群とその凝集状態の理解はまだ発展途上です。 最近では、スケールの大きく違う系でも準結晶状態が発見されています。 準結晶の原子的構造の理解、物性の解明とその延長線上にある応用には未知の可能性が広がっています。

より詳しい内容については研究紹介へどうぞ。

(注) International Union of Crystallography, Report of the Executive Committee for 1991, Acta Cryst. A48, 922-946 (1992).

News

• 第4回非周期結晶 国際スクールがポールバイユ・ノルマンディー（Portbail Normandy, France）で開催されました。(2019.09.08-14)。
• 新学術領域研究(2019年度-2023年度) ハイパーマテリアル 補空間が創る新物質科学が立ち上がりました。(2019.07)。
• 第14回準結晶国際会議がクランスカ・ゴーラ（Kranjska Gora, Slovenia）で開催されました(2019.05.26-31)。
• 第9回非周期結晶国際会議(Aperiodic2018)がアイオワ州立大学（Iowa, USA）で開催されました(2018.07.8-13)。
• 第13回準結晶国際会議がカトマンズ（Kathmandu, Nepal）で開催されました(2016.09.18-23)。
• 第3回非周期結晶 国際スクールがアントワープ大学（University of Antwerp, Belgium）で開催され 高倉准教授が講師のひとりとして参加しました。(2016.07.04-08)。
• Sc-Zn正20面体準結晶の原子的構造とフェイゾン乱れとの関係を明らかにした論文がIUCrJ誌に掲載されました。 北大研究発表。(2016.6.14)。
• 豊田理研ワークショップStrongly Correlated Electron System: Open Space between Heavy Fermions and Quasicrystalsが名古屋大学東山キャンパスにて開催されました(2015.11.17-19)。
• Aperiodic 2015がプラハ(Prague - Brevnov Monastery, Czech Republic)で開催されました。(2015.08.30-09-04)。
• 第12回準結晶国際会議がポーランドのクラクフ（AGH University of science and technology, Krakow, Poland)で開催されました(2013.09.1-6)。
• 準結晶における量子臨界現象の発見の論文がnature materials誌に掲載されました(Advance Online Publication (AOP))。(2012.10.07)。
• Cd-Yb2元素準結晶の構造解明の論文がnature materials創刊10年以来のHighlighted articles 20論文の1つとして選定されました。(2012.09.10)。
• Aperiodic 2012がケアンズ(Cairns, Australia)で開催されました。(2012.09.02-07)。
• 2011年ノーベル化学賞を準結晶の発見者Prof.Dan Shechtmanが受賞しました。 おめでとうございます。
  我々の「Cd-Yb2元素準結晶の構造解明」の研究がProf.Dan Shechtmanの今回の ノーベル化学賞受賞を支えている ことを大変うれしく思います。
• IUCr2011-XXII International Congressがスペインのマドリード（Madrid, Spain）で開催されました(2011.08.22-30)。
• 非周期結晶 国際スクールがフランスのカルクイランヌ（La Valerane Carqueiranne, France）で開催され(2010.09.26-10.02)、
  高倉准教授が講師のひとりとして参加しました。
• 第11回準結晶国際会議が札幌（Hokkaido University, Japan）で開催されました(2010.06.13-18)。
• Aperiodic'09がリバプール(Univ. Liverpool, UK)で開催されました(2009.09.13-18)。
• The 5th Asian International Workshop on Quasicrystals (AIWQ5)が東京で開催されました(2009.06.01-04)。
• 第10回準結晶国際会議がスイス（ETH Zurich, Switzerland）で開催されました(2008.07.06-11)。
• 準結晶発見25周年を記念した国際会議がイスラエル(Tel Aviv, Israel)で開催されました。
• Zn-Mg-Sc準結晶と近似結晶の詳細な動的構造比較の研究が2007年12月号のnature materialsに掲載されました。
• パリティVol.22,No.08,2007(8月号), pp. 32-34に下記Physics Today March 2007 Volume 60, Issue 3,
  pp. 23-25の日本語訳が掲載されています。
• Cd-Yb2元素準結晶の構造解明の研究が2007年1月号のnature materialsの表紙を飾りました。
• アメリカ化学会のChemical & Engineering News, January 15, 2007 Volume 85, Number 3 p.16 で紹介されました。
• アメリカ物理学会のPhysics Today -- March 2007 Volume 60, Issue 3, pp. 23-25で紹介されました。
• European Synchrotron Radiation Facility(ESRF)のSpotlight on Scienceで紹介されました。

更新情報

• 2020/05/12 - 更新しました。
• 2019/04/24 - 更新しました。
• 2018/04/05 - 更新しました。
• 2017/04/06 - 更新しました。
• 2016/11/10 - 更新しました。
• 2015/04/14 - 更新しました。
• 2014/04/11 - 更新しました。
• 2013/04/24 - 更新しました。