制振

制振構造の分野では、建築構造物の地震や風などの外乱に対する応答制御法と損傷制御法について研究・開発を行っています。具体的には、次の[1]〜[5]について検討しています。

[1] 種々の制振構造の最適ダンパー評価法の開発

[2] 地盤の影響を考慮したパッシブ制振構造の最適ダンパー特性の解明

[3] 超高層建築物の長周期地震動に対する応答制御に適した新型ダンパーに関する研究

[4] ロバスト性を考慮した地震応答評価手法の開発

[5] 大型振動台実験に基づく建築構造物の地震時挙動把握とシュミレーション解析



[1] 種々の制振構造の最適ダンパー評価法の開発

●近年、建築物に制振装置を設置することで、地震や風などの外乱に対する応答制御・損傷制御を行う事例が増加しています。このような制振構造は、建築物の耐震安全性向上、居住性改善、長寿命化などの観点から重要な技術といえます。

●制振構造のもつ潜在性能を上手に引き出す合理的な設計を実現するためには、主架構、制振装置、地盤などの動的特性をふまえた検討が必要です。特に、主架構が鉄筋コンクリート造のように非線形性を有する場合の、合理的な制振設計・評価方法について検討しています。

鉄筋コンクリート造制振建築のモデル化



等価線形・複素剛性モデル化



等価線形系の伝達関数
●TMD(Tuned Mass Damper)を有する制振構造や連結制振構造などの架構外制振について、各種制御理論を適用して最適な応答制御性能を獲得するための設計法を検討しています。

TMD(Tuned Mass Damper)の伝達関数





 [2] 地盤の影響を考慮したパッシブ制振構造の最適ダンパー特性の解明

●層間に制振装置を有する制振構造を対象とし、建物と地盤の動的相互作用や地盤増幅を考慮した強震時の制振効果を最大化する最適ダンパー特性について定量的に解明するための検討を行っています。



地盤の影響



スウェイ・ロッキングモデル




 [3] 超高層建築物の長周期地震動に対する応答制御に適した新型ダンパーに関する研究

●将来発生が予想される巨大地震、特に長周期地震動に対して、一部の超高層建築物では制振補強等による耐震性向上が課題となっています。このような背景から、長周期地震動に対する制振装置として開発された新型ダンパーを超高層建築物に適用した際の応答制御効果について理論的・解析的に検討しています。


 [4] ロバスト性を考慮した地震応答評価手法の開発

●層間に制振装置を有するパッシブ制振構造を対象とし、質量・剛性・減衰等の構造パラメターの変動に対する応答制御性能の頑強さ(ロバスト性)について、理論的・合理的に評価する方法について検討を行っています。


  [5] 大型振動台実験に基づく建築構造物の地震時挙動把握とシュミレーション解析

●これまでに、独立行政法人防災科学技術研究所保有の実大三次元震動破壊実験施設”E−ディフェンス”を用いて実施された複数の実験プロジェクト(実大6層鉄筋コンクリート造建物実験、水平免震システムの終局挙動把握実験など)に参画しています。


●2011 NEES/E-Defense Blind Analysis Contestに参加し、Fixed Base Configuration 部門でsecond place を受賞しました。