Soft Matter Group in Division of Applied Physics, Hokkaido University
ソフトマターの持つ複雑な構造,多彩な性質および機能の物理的解明とその応用を目指します。

細胞核内のレオロジー

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  •  細胞核内部のレオロジー挙動を考えてみましょう。細胞核内部は、染色体や蛋白質でいっぱいになっているはずです。染色体はDNAがコンパクトに折りたたまれてできた構造物なので、そのレオロジーは高分子に似たものになると考えられます。ですが、核内部のDNAは、転写・複製などの生物学的プロセスのため、アクティブに動いているはずです。つまり、細胞核内部は、アクティブな媒体で満たされていると考えることができます。では、媒体のアクティブな性質は、レオロジーにどのように反映されているのでしょうか。また、そのレオロジー特性は、細胞プロセスとどのような関係にあるのでしょう。
  •  細胞のような小さな物体のレオロジー特性は、マイクロレオロジーによって調べることができます。そのためには、媒体の運動を反映するプローブ粒子が必要になりますが、細胞核内部にプローブ粒子を入れると、細胞は死んでしまいます。そこで、はじめから細胞にプローブとなる粒子を作らせることにしました。このバイオトレーサーを利用し、細胞核内部のマイクロレオロジーを調べています[1]。この研究は、イスラエルのワイツマン科学研究所、バル-イラン大学、テルアビブ大学との共同研究で進めています。
  •  また、’光’を利用して細胞核内部にタンパク質の凝集体を作り出すこともできます。この光誘起による凝集体の運動を解析し、細胞核内部のダイナミクスも調べています[2]。
  • [1] S. Fujii, in preparation, (2019)
  • [2] on going project!