研究紹介

固-液間の界面張力と反応を利用した新機能デバイスの創製

エコマテリアル講座
移動現象研究室

金属粉末焼結体内への自由形状マイクロチャンネル形成

マイクロチャンネルとは、直径が数十~数百ミクロンの微細な流路のことで、金属の内部にマイクロチャンネルを形成した金属系マイクロチャンネル・デバイスは、例えば、電気機械製品用の高効率小型熱交換器や高熱発生型の高難度選択酸化反応に対応したマイクロリアクター等、広範な応用が期待されています。

私たちは、金属粉末を出発原料とする安価でシンプルなマイクロチャンネル形成プロセスを研究しています。このプロセスは、例えば、チタンとアルミニウムのような異種金属の混合粉末の液相焼結においてしばしば見られるミクロ的な溶浸現象を利用しています。

本プロセスでは、アルミニウム粉末と有機バインダとのコンパウンドを、目的とするマイクロチャンネル・ネットワークの形状に成形し、これを犠牲コアとします。この成型方法としては、例えばインクジェットプリンターのような機械で「印刷」するような手法が考えられます。

この犠牲コアを含むチタン粉末成形体をアルミニウムの融点以上の温度で焼結すると、有機バインダが脱脂され、アルミニウム粉末が融解して生成した液体アルミニウムがチタン粉末の間隙に浸透し反応します。この反応浸透によって、犠牲コアのあった領域が空洞となり、さらにその空洞はTi-Al合金のライニング層によって被覆されます。このマイクロチャンネル・ライニング層は、焼結時の熱処理条件の調整や犠牲コアへの第三元素の添加などの方法によって、組成、相、組織、機能等を変化させることができます。