研究紹介
振動流による熱輸送促進を利用した熱輸送デバイスの開発
マイクロシステム
マイクロサーマルマネージメント
マイクロサーマルマネージメント
近年、パーソナルコンピュータなどの情報電子機器は、高性能化・小型化が格段に進んでいます。情報電子機器の内部では情報処理のために電力を消費していますが、高性能化に伴ってその消費電力が増加しています。消費された電力は最終的に熱に変わるので、半導体素子からは大量の熱が発生することになります。発生した熱は半導体素子の故障の原因となるために直ちに取り除かなければなりませんが、増加し続ける発熱を除去するのは既存の冷却手段では限界になりつつあります。そこで、新しい冷却デバイスの開発が待望されています。
本研究室では、新しい冷却デバイスとして、振動流による熱輸送促進効果を利用した熱輸送デバイスの開発を検討しています。管内の流体を振動させると、流体自体は1サイクルで元の位置に戻るのにも関わらず、熱は温度の高いほうから低いほうへと大量に輸送されます。そのため、この熱輸送管はドリームパイプと呼ばれています。 本研究室では、振動流を利用した熱輸送管を作成し実効熱伝導率を実験的に測定することにより、熱の良導体である銅の数十倍以上もの熱を輸送することが可能である条件がある事を明らかにしました。
図1 振動流の実効熱伝導率
本研究では、振動流による熱輸送について振動波形や流路形状などの影響を明らかにするために、実験および数値解析を行っています。これまでの研究で、振動波形を正弦波から台形波にすると、実効熱伝導率が向上することがわかっています。
図2 振動波形の影響