研究紹介

流動抵抗の少ないスマート流体

マイクロシステム講座
マイクロエネルギーシステム研究室

界面活性剤を入れた水の乱流抵抗が著しく低減する機構(トムズ効果)を理論的に調べ,最適な抵抗低減手法を開発しています

乱流現象の制御、特に壁面摩擦抵抗の低減は、工学上重要な課題の1つである. その中でも,水に微量の長鎖状高分子あるいは棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加すると,乱流域での抵抗が著しく低減することはToms効果として古くから知られている.

近年では,ポンプなどの機器を通過中に破断されても再生可能な界面活性剤ミセルの特性を利用して熱供給システムの動力を低減させる等の実用化に向けた研究がなされている. しかしながら,抵抗低減のメカニズムについては未だ不明で,現象を定量的に予想しえる理論やモデルも存在しない.

当研究室では,独自のモデルを考案し,それを用いた乱流の直接数値計算(DNS)によって,抵抗低減現象が再現されることを示した. 抵抗低減の定量予測が可能なモデルの構築を目指すと同時に,計算結果を用いて抵抗低減のメカニズムに関する考察を行っている.また,それらの知見を基に新たな抵抗低減手法を見出すことを目的としている.