研究紹介
ホイールねじの緩み過程
バイオ・ロボティクス講座
スマートメカニズム研究室
スマートメカニズム研究室
近年,大型車両の車輪が走行中に脱落する事故が頻発している.事故の発生メカニズムにはいくつかのパターンがあるが,そのひとつは車輪ホイールを固定するナットの緩みに起因するボルトの破損であると考えられる.ねじ締結はねじの軸力で保たれるが,軸直角力はねじを緩ませるとされており,一方向の軸直角力の繰り返しと緩みの関係は明らかにされている.しかしホイールねじには車輪の回転に伴って大きさと方向が連続的に変化する軸直角力が作用する.そこで本研究では走行中のホイールをモデル化したシミュレーション,および自動車の走行状態を模した回転ホイールに横加重を作用させることによる,ねじの締め付け力の変化を調べる実験を行い,これによってホイールねじの緩み過程を明らかにすることを目的としている.
これまでの2次元シミュレーションの結果,ホイールに生じる応力はホイール内で均等ではなく(図上左),軸直角力も各ボルトに均等に作用せず(図上右),車輪1回転中において下部の最大値は上部の最小値のほぼ3倍となることが明らかとなった(図下).集中・緩和する軸直角力が回転しながら作用する場合の影響を解析と実験により解明しつつある.