研究紹介

固液混相理論に基づく軟組織のバイオメカニクス

バイオ・ロボティクス講座
バイオメカニカルデザイン研究室

人間の脊柱は多数の脊椎と椎間板の連結機構で構成されています.椎間板は脊椎間の緩衝機能,体幹の荷重を支持する支持性,脊髄や神経要素を守る神経保護性,体幹の運動を容易に行うための可動性といった複合機能を有しています.椎間板はコラーゲン線維で補強された異方性弾性に富んだ軟組織の線維輪とゲル状物質からなる髄核で構成された複雑な構造体です.椎間板は大きな荷重負担能力を有し,その負荷形態や可動様式は複雑です.そのため臨床的に障害頻度の高い部位となっています.そこで本研究では,椎間板の力学的な機能を解明し,機能を代行するデバイス開発するための基礎研究を行っています.

水分含有率の高い軟組織の場合,通常の固体力学ではその挙動を明らかにすることはできません.そこで固液混相理論に基づき,椎間板髄核および脊髄組織の力学試験や有限要素解析を行っています.

図1 椎間板髄核の拘束単軸圧縮試験
図1 椎間板髄核の拘束単軸圧縮試験