コース紹介

コース長挨拶

北海道大学環境社会工学科建築都市コースは,「北方圏に適応する生活,文化を科学的に究明するとともに,有能な建築技術者を養成する」ことを目的として,1948年に建築工学科の名称で開設され,1997年に建築都市学科と改称,2005年から環境社会工学科建築都市コースと改称されました。

本コースの教育目標は,専門的知識や能力に関して,基礎から高度な段階のジェネラリスト育成のための総合的建築教育を実施し,卒業後の広範な社会的活躍のために,また大学院での専門的な教育・研究展開のための基礎固めを行うことにありま す。また本コースは,北海道大学の建学精神,即ち,「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」,「地域性および実学の重視」という教育理念を尊重し,本学の置かれた地理的・物理的・社会的環境を積極的に生かした教育を実践することを心掛けています。

本コースは,2003年度に日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定を受け,2008年度に認定継続を行いました。この機構によって認定された教育プログラムを受けた本コースの卒業生は,建築学およびその関連分野の基礎教育を受けた技術者であると,国内だけではなく国際的にも認められたことを意味します。JABEE認定プログラム修了者(卒業生)は技術士認定試験の一次試験を免除され,また本学科の出身者が建築・都市学の技術者として国際的に活躍する際のパスポートの役割を果たすことにもなります。

本コース卒業生の8割以上が大学院へ進学しています。本学大学院の建築都市空間デザイン専攻と空間性能システム専攻に進学する者が多数を占めますが,他大学の建築系大学院への進学者もいます。学部卒業生および大学院修了生は社会に出て建築都市に関わる様々な分野で活躍しております。当コースの設立時からの伝統を大切にしながらも,新たな提案を積極的に発信する彼らを輩出したことを教職員一同誇りに思うとともに,今後も社会における指導的人材の養成を心がけていきたいと思います。

2011年度建築都市コース長 教授 羽山 広文(はやま ひろふみ)

建築都市コースとは

 建築都市学はきわめて幅が広く、かつ奥の深い学問分野です。この分野は、建築や都市という生活環境をつくり・なおし・まもるための方法に関する創造的総合的体系を持っています。本コースの学部教育ではこの基礎段階の学修を行います。そのためには工学的基礎だけではなく、社会科学・人文科学・芸術等にわたる幅広い認識と分析力・創造力・総合力が必要となります。ここでは、設定された課題の適正な解を効率よく導く分析力・総合力を発揮する問題解決型能力と共に、内在する問題点を自ら見つけ出して課題とする創造力を発揮する問題提起型能力を必要とすること、さらに対象とする領域範囲が極めて広いことに特徴があります。

本学の教育理念

 本学は、札幌農学校以来の125年を越える伝統を踏まえて、教育研究の理念としてクラーク博士に由来する「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」「地域性および実学の重視」を掲げています。

 また、都心部に隣接していながら札幌農学校以来の自然を残す広大な総合的キャンパスは、北海道の気候条件による明確な四季折々の景色の変化を享受でき、また総合大学として人間間および多様な学問領域間の相互連携のしやすさへの基本条件をも併せ持ち、都市の文化性と密接に関わりながら人間性豊かな感性、批判力を含む価値判断能力や哲学的思考を育てる環境としての条件を備えています。

建築都市コースの伝統・特徴

 本コースの教育研究は、1948(昭和23)年に建築工学科として設立されたことにはじまります。ここでは、戦後における国内唯一の広大な開拓地と位置づけられた北海道の寒冷な条件等を克服し、地域にあった新しい生活環境へつくりかえるための建築学のフロンティアを目標として掲げています。

 以来、生活環境を総合的にとらえ、それぞれの専門領域が互いに連携しつつ、各領域の内容を深めるという考え方で教育研究を進めてきました。このため、学部教育では特定専門領域に特化せずに、建築学の総合的基盤形成に重点を置いたカリキュラム体系を組み、社会のリーダー養成を目指した教育を行ってきています。