学習・教育目標

学習・教育目標

本学の建築都市コースでは、建築や都市という生活環境をつくり、なおし、まもるための方法に関する創造的総合的体系についての基礎認識・基本能力を養うことを目指した教育を行っています。  このため、学部段階の学修では、工学的基礎のみばかりではなく社会科学・人文科学・芸術等にわたる幅広い認識と分析力・創造力・総合力を養うことを重点に置いています。

以上を通じて、専門的知識・能力に関する基礎からより高度な段階のジェネラリスト型の総合的建築教育を着実に実施し、卒業後の広範な社会的活躍のために、また大学院でのそれぞれの特定領域におけるより専門的な展開のための基礎固めを行うことを学習教育の基本目標としています。

上記を踏まえて、本学科の教育方針として、この目標と本学および工学部の基本理念と本学の歴史的地域的条件を生かしながら、
1)全人教育および社会工学に必要な基礎知識・能力
2)建築都市学に関わる包括的な基礎知識・能力を育成すること
に重点を置いています。

1)に関しては、工学における一般的素養とともに社会や人間、そして文化・芸術・歴史および法律・経済などにわたる幅広い認識と、それらにもとづく分析力・創造力・総合力と、個人レベルから地球レベルにわたる総合的思考と人間味あふれる感性を育むことを目指します。

これを踏まえて2)に関しては、建築都市コースに関する幅広い専門的知識と総合的体系的な識見をもち、人間性に立脚した生活環境の形成と維持・改良等に関する広い対象領域範囲で活躍し得る、自ら創造的に問題を提起し、解決する基礎的能力を持つ人材を育成することを目指します。このために、建築計画・設計、建築環境・設備、建築構造、建築生産の基本領域はもとより、建築史および都市計画をも含む広範な領域にわたって、時代の要請と地域の特性を踏まえた教育の展開を目指します。

このような本学科の建築都市学プログラム教育の特徴として、
(1) 設定された課題の適正な解を効率よく導く問題解決型能力(分析力・総合力)と共に、内在する問題点を自ら見つけ出して課題とする問題提起型能力(想像力)を必要とすること
(2) 対象とする領域範囲が極めて広いこと
があげられます。

建築都市学プログラムの具体的な知識・能力

本学科では、基本的な学習教育目標を達成するために、具体的な知識・能力の到達目標として、以下を掲げます。
   A. 基礎的知識・能力
   B. 建築都市学に共通する基礎的および専門的知識・能力
     →【建築共通・総合】へ展開
   C. 建築および都市・地域の計画・設計に関する基礎的および専門的知識・能力
     →【生活空間デザイン】へ展開
   D. 建築環境・設備に関する基礎的および専門的知識・能力
     →【空間性能・生産】へ展開
   E. 建築生産に関する基礎的および専門的知識・能力
     →【空間性能・生産】へ展開
   F. 建築構造に関する基礎的および専門的知識・能力
     →【空間構築・安全システム】へ展開

この知識・能力到達目標の具体的な内容は表1のようになります。これらの知識・能力目標項目は単一の授業科目で充たされるのではなく、多くの科目が相互に連携し合って達成されます。従って、A~Fに関連する諸科目をバランスよく履修することが求められます。

【表1. 建築都市学における学修・教育目標に基づく知識・能力】

これらの知識能力は、相互に関連しながら、Bは【建築共通・総合】へ、Cは【生活空間デザイン】へDおよびEは【空間性能・生産】へ、Fは【空間構築・安全システム】へと展開するカリキュラムが用意されています。

技術者全般に共通する知識・能力

建築都市学(総合)プログラムの前提として、すべての分野に共通する技術者(研究者を含む)に必要な能力は下記の通りとなります。
(a) 多面的思考能力等
(b) 社会責任理解力等(技術者倫理)
(c) 工学基礎能力
(d) 専門技術力
(e) デザイン能力
(f) コミュニケーション能力
(g) 継続的学習能力
(h) まとめ能力

これらは、現代の技術者(研究者)に求められる幅の広い認識と社会に対する責任の重さを示していますが、これらの修得には当然ながら、専門科目以外の教養科目や基礎科目(本学では「全学教育科目」「学部共通科目」「系共通科目」として実施)などのの基礎的段階の教育にも深く関わり、それらの基礎科目から専門科目の全体を通じて学生諸君の積極的な学修に負うところが大きいと言えます。 これらの項目の具体的内容や意味は表2に示すとおりとなります。

【表2. 技術者全般に共通する知識・能力の具体的内容】

これらは、本学科の教育における「極めて幅の広い認識」の具体的な内容を示し、社会との密接なつながりを持つと言う点で重要な意味を持ちます。これらの基礎的な能力の根本的な出発点は、大学より遙か以前の幼児期からの遊びをも含む全生活を通じて育まれるものが少なからずあります。しかし、大学に入ってからも「全学教育科目」を含めて、再度磨きをかける必要があることを意味します。

両者の関連

建築都市学プログラムのカリキュラムでは、その具体的な知識・能力と技術者全般に共通する知識・能力が相互に複層的に関連しながら展開します。その関係を授業科目を介して関連づけると表3のようになります。この表の意味はひとつの知識・能力の達成は特定の科目のみで培われるのではなく、多くのいろいろな科目が絡んで力がつけられることを意味しています。各科目で達成されるべき到達目標は、各科目の『シラバス』(科目説明)で説明されています。この表は、各科目の到達目標が全体の中でどのように位置づけられるかを考えるためのよすがとなります。

各科目の建築都市学プログラムの具体的な知識・能力との関係は、下記の「カリキュラム」の項で説明します。

【表3. 建築都市コースプログラムの学習・教育目標と技術者全般に共通する知識・能力との関係】